収益事業

収益事業の定義と税務:公益法人が注意すべき3つのポイント

収益事業に関する情報は2024/6/21時点の情報に基づき記載しています。

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・公益法人等の経営者

「性能を炸裂させろ!!」

こんにちは、税理士の岩本隆一です。

今回は、

収益事業

について解説していきます。

知らぬ間に脱税になってしまっていることがあるので注意が必要です

概要

普通法人は全ての所得について法人税を課税します。

しかし、公益法人等については、原則、法人税を課税しません。

とはいえ、公益法人等の全てのケースについて法人税を課税しないのではなく、

収益事業を営んでいる場合には

法人税を課税します。

収益事業とは

収益事業とは、物を売ったり、物を作ったり、不動産を貸したりするなど、法人税法施行令第5条に書かれている事業のことを指します。

そして、これらの事業は、継続して行う必要があります。

また、公益法人等が行う事業が収益事業かどうか判断するには、次の3つの要件を確認します。

政令で定める事業にあたるか

現在、34種類の業種が政令で定められています。こちらを参考にしてください。

継続しているか

「継続しているか」とは何回も定期的に行われていることを指します。

しかし、事業が不定期でも繰り返し行われていたり、1回限りでも規模が大きく収入が多額で準備期間が長い場合でも継続しているとみなされます。

また、バザーを年に2回程度行う場合は継続しているとはされません。しかし、もっと頻繁に行う場合は継続しているとみなされることがあります。

15-1-5 法第2条第13号《収益事業の意義》の「継続して……行われるもの」には、各事業年度の全期間を通じて継続して事業活動を行うもののほか、次のようなものが含まれることに留意する。(昭56年直法2-16「七」、平20年課法2-5「二十九」により改正)

(1) 例えば土地の造成及び分譲、全集又は事典の出版等のように、通常一の事業計画に基づく事業の遂行に相当期間を要するもの

(2) 例えば海水浴場における席貸し等又は縁日における物品販売のように、通常相当期間にわたって継続して行われるもの又は定期的に、若しくは不定期に反復して行われるもの

(注) 公益法人等が令第5条第1項各号《収益事業の範囲》に掲げる事業のいずれかに該当する事業(以下15-1-5において「特掲事業」という。)とこれに類似する事業で特掲事業に該当しないものとを行っている場合には、その行う特掲事業が継続して行われているかどうかは、これらの事業が全体として継続して行われているかどうかを勘案して判定する。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/15/15_01_01.htm

事業場を設けているか

事業場を設けているかどうかは、一般的には常設の施設を示します。

しかし、臨時的な施設や無店舗販売なども事業場を設けていると取り扱います。

例えば、地域のイベントでクラブが飲食の屋台を出す場合などは、事業場を設けて営まれているとみなされることがあります。

15-1-4 法第2条第13号《収益事業の意義》の「事業場を設けて行われるもの」には、常時店舗、事務所等事業活動の拠点となる一定の場所を設けてその事業を行うもののほか、必要に応じて随時その事業活動のための場所を設け、又は既存の施設を利用してその事業活動を行うものが含まれる。したがって、移動販売、移動演劇興行等のようにその事業活動を行う場所が転々と移動するものであっても、「事業場を設けて行われるもの」に該当する。(昭56年直法2-16「七」、平20年課法2-5「二十九」により改正)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/15/15_01_01.htm

収益事業の範囲

収益事業の範囲は下記の通りです。

  1. 物品販売業
  2. 不動産販売業
  3. 金銭貸付業
  4. 物品貸付業
  5. 不動産貸付業
  6. 製造業
  7. 通信業
  8. 運送業
  9. 倉庫業
  10. 請負業
  11. 印刷業
  12. 出版業
  13. 写真業
  14. 席貸業
  15. 旅館業
  16. 料理店業やその他の飲食店業
  17. 周旋業
  18. 代理業
  19. 仲立業
  20. 問屋業
  21. 鉱業
  22. 土石採取業
  23. 浴場業
  24. 理容業
  25. 美容業
  26. 興行業
  27. 遊技所業
  28. 遊覧所業
  29. 医療保健業
  30. 各種教室の運営
  31. 駐車場業
  32. 信用保証業
  33. 無体財産権の譲渡または提供を行う事業
  34. 労働者派遣業

公益法人等の本来の事業が収益事業に該当する場合

公益法人などが、法律で定められた収益事業を行う場合、その事業が公益法人の本来の目的であっても、その事業から得た収入には法人税がかかります。

参考:国税庁

公益法人等が自ら収益事業を行っているとみなされる場合

次のような場合には、公益法人などが自ら収益事業を行っているとみなされるので注意が必要です。

業務の委託

公益法人が収益事業にあたる業務の全部または一部を他の人に委託して行わせている場合。

組合契約など

公益法人が、収益事業を行うために組合契約(匿名組合契約を含む)などを結び、その事業に関する費用や損失を負担し、収益の分配を受ける場合。

この場合には、実質的に自らその事業を行っているとみなされます。

信託の受益者

公益法人が受益者課税信託の受益者である場合(信託財産に関する収益や費用を負担する者も含む)、その信託に関する事業が収益事業に該当するとき。

参考:国税庁

収益事業に付随する行為

法人税法の規定により、収益事業に附随して行われる行為には、以下のような通常その収益事業に関連する活動が含まれます。

  1. 講演会の開催や広告の引き受け
    出版業を行う公益法人が、その出版活動に関連して行う講演会の開催や出版物に掲載する広告の引き受け。
  2. 教材の販売やバザーの開催
    技芸教授業を行う公益法人が、その技芸の授業に関連する教科書や教材の販売、またはバザーの開催。(注)教科書以外の物品の販売についての収益事業の判断は、別の規定に従います。
  3. 会議等のための席貸し
    旅館業や料理店業を行う公益法人が、その旅館や料理店で行う会議などのための席貸し。
  4. 放送許諾
    興行業を行う公益法人が、放送会社に対してその興行に関する催し物の放送を許可する行為。
  5. 所得の運用
    公益法人が収益事業から得た所得を預金や有価証券などに運用する行為。
  6. 固定資産の処分
    公益法人が収益事業に属する固定資産などを処分する行為。

15-1-6 令第5条第1項《収益事業の範囲》に規定する「その性質上その事業に附随して行われる行為」とは、例えば次に掲げる行為のように、通常その収益事業に係る事業活動の一環として、又はこれに関連して行われる行為をいう。(昭56年直法2-16「七」、平20年課法2-5「二十九」により改正)

(1) 出版業を行う公益法人等が行うその出版に係る業務に関係する講演会の開催又は当該業務に係る出版物に掲載する広告の引受け

(2) 技芸教授業を行う公益法人等が行うその技芸の教授に係る教科書その他これに類する教材の販売及びバザーの開催

(注) 教科書その他これに類する教材以外の出版物その他の物品の販売に係る収益事業の判定については、15-1-10に定めるところによる。

(3) 旅館業又は料理店業を行う公益法人等がその旅館等において行う会議等のための席貸し

(4) 興行業を行う公益法人等が放送会社に対しその興行に係る催し物の放送をすることを許諾する行為

(5) 公益法人等が収益事業から生じた所得を預金、有価証券等に運用する行為

(6) 公益法人等が収益事業に属する固定資産等を処分する行為

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/15/15_01_01.htm

申告書の提出

収益事業を行っている公益法人等は、事業年度が終わった日から2か月以内に、確定した決算に基づいて、納税地を所轄する税務署に法人税の確定申告書を提出する必要があります。

一方で、非営利法人は、収益事業を行っていない場合でも、事業年度が終わった日から4か月以内に損益計算書または収支計算書を、その法人の主な事務所がある地域の税務署に提出しなければなりません。

まとめ

今回は収益事業について解説しました。

まとめると下記の通りです。

・公益法人等でも収益事業を行っている場合には法人税を収める義務がある

・収益事業は34事業ある

・事業年度終了後2ヶ月位内に所轄税務署に確定申告をしよう

今回もお読みいただきましてありがとうございました。

よい一日を!!