*この情報は2024/6/18時点の情報に基づき記載しています。
・障害福祉サービスを行っている事業者
「性能を炸裂させろ!!」
こんにちは、税理士の岩本隆一です。
今回は、
NPO法人が障害福祉サービスを行った場合の法人税の納税義務
について解説していきます。
事例
という方に参考にしていただいています。
あるNPO法人は障害福祉サービスを行っていましたが、法人税の申告をしていなかったため、税務調査が入り、追徴課税を受けることになりました。
NPO法人の法人税の取扱い
NPO法人の場合には、収益事業以外の事業については法人税が課税されません。
収益事業とは下記の事業です。
①物品販売業、②不動産販売業、③金銭貸付業、④物品貸付業、⑤不動産貸付業、⑥製造業、⑦通信業、⑧運送業、⑨倉庫業、⑩請負業、⑪印刷業、⑫出版業、⑬写真業、⑭席貸業、⑮旅館業、⑯料理店業その他の飲食店業、⑰周旋業、⑱代理業、⑲仲立業、⑳問屋業、㉑鉱業、㉒土石採取業、㉓浴場業、㉔理容業、㉕美容業、㉖興行業、㉗遊技所業、㉘遊覧所業、㉙医療保健業、㉚技芸教授業、㉛駐車場業、㉜信用保証業、㉝無体財産権提供業、㉞労働者派遣業
障害福祉サービスは収益事業に該当するのか
障害福祉サービスは収益事業に
該当します。
医療保健業か請負業に当てはまると判断されています。
障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスは、障害者に対して介護等の提供を行う対人サービスであり、こうした障害者は医療保健面でのケアを必要とするのが通例であることから、医療と密接な連携がなされており、実際面において、これらは、個別支援計画の策定過程等を通じて確保されますので、このような特徴を有する障害福祉サービスは、原則として収益事業である「医療保健業」に該当します(法令5①二十九)。他方、就労移行支援に代表されるように、看護師の関与も求められていないものについては、必ずしも「医療保健業」とは言えないのではないかと考える向きもあるようです。この点、基本的には上述のとおり、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスは「医療保健業」に該当すると考えられますが、仮に、個別の事業者のサービス内容から見て、実態として医療や保健といった要素がないサービスを提供しているようなケースがあったとしても、障害者総合支援法の下で、事業者と利用者との間で利用契約を締結し、利用者からそのサービスの対価を受領することになりますので、そうした契約関係等を踏まえれば、法人税法施行令第5条第1項第10号に規定する収益事業である「請負業(事務処理の委託を受ける業を含む。)」に該当します。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/21/18.htm
収益事業に該当しない場合
収益事業に該当しない場合とは、実費弁償の場合と就労している人の過半数が身体障害者の場合です。
実費弁償の場合
収益事業に該当しない場合は、下記の両方に該当するケースです。
・実費弁償の事業
・あらかじめ税務署長の確認を受けた
実費弁償とは、すぐに精算するなどしてかかった経費分だけ委託料がもらえるように契約上定められていることです。
そして、その旨を税務署長に届出をして確認を受ける必要があります。
ただし、NPO法人が提供する障害福祉サービスが、実費弁償方式(①個々の契約ごとにその都度実費精算が行われるもの、②ごく短期間に実費精算が行われるもの、③手数料等の額が法令により実費弁償の範囲内で定められ、仮に剰余金が生じた場合には手数料を減額する等の適正な是正措置を講ずることになっているもの)により行われるもので、あらかじめそのことについて税務署長の確認を受けた場合については、収益事業としないものとされ(法人税基本通達15-1-28)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/21/18.htm
就労している人の過半数が身体障害者の場合
収益事業に該当しない場合は、下記の両方に該当するケースです。
・障害福祉サービスに従事する人の過半数が身体障害者等
・そのサービスが身体障害者等の生活の保護に寄与している
その障害福祉サービスに従事する者の半数以上が身体障害者等であり、かつそのサービスが身体障害者等の生活の保護に寄与している場合については、収益事業に含まれないものとされますので(法令5②二)、いずれかの場合に該当するときには法人税の納税義務はありません。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/21/18.htm
まとめ
今回はNPO法人が障害福祉サービスを行った場合の法人税の納税義務について解説しました。
まとめると下記の通りです。
・収益事業に該当すると、NPO法人でも法人税の納税義務がある
・障害福祉サービスは収益事業に該当する
・でも、実費弁償や障害者が過半数働いていれば収益事業に該当しない
今回もお読みいただきましてありがとうございました。